パワハラ/アカハラに関与した学部執行部(2014年度時点)
井形浩治被告 池島真策被告 北村實元副学長 二宮正司元学部長 樋口克次元副学部長 田中健吾元学部長補佐 吉野忠男現副学部長
Information
吉 井 康 雄
CVS :
Certified Value Specialist
CMC :
Certified Management
Consultant
MCMC :
Japan Master Certified
Management Consultant
元、大阪経済大学 経営学部 教授
2014年9月30日、大阪地裁の判決が下される。原告は、即時、大阪高裁に控訴する。
結論を先に明記する。大阪地裁の判決には、疑義が多く、未解決の課題が多々あるため、
これらを分析するのが目的である。
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大阪地裁の判決文を分析・評価する検索項目
はじめに: 大阪地裁の判決に対する、原告の感想
1.4つの争点
2.争点1、「被告大学において,特任教員の任用を申請すれば任用されるという
労使慣行があったか」の結論は?
3.争点2、「争点1が否定される場合,正式の任用行為がなくても
原告が被告大学の特任教員に任用された場合と同視し得るか」の結論は?
4.争点3、「争点1及び争点2が否定されるとしても,任用手続を進めていれば
原告が特任教員に任用された高度の蓋然性があり,損害(逸失利益)を
被ったといえるか」の結論は?
5.争点4、「被告井形、被告池島が,原告の特任教員任用申請を妨害したとして,
不法行為責任を負うか」の結論は?
5−1.被告池島に対する、争点4の判決部分
5−2.被告井形に対する、争点4の判決部分
6.大阪地裁の判決文
判決の争点をみると、「労使慣行」を基軸にして、原告の特任人事に高度の蓋然性などへ論理を
分岐させ、この労使慣行と切り離して、被告井形・被告池島の不法行為を争点としている。
この論理展開は、大いに矛盾がある。
● 「労使慣行」は、「尋問」では、裁判官が被告井形に一言触れているのみで、
被告弁護士も原告弁護士も全く触れていない、極めて不自然な「尋問」である。
● 「準備書面」においても、十分な議論を交わされず、被告大学の改ざんしたデータと、
「尋問」での、被告井形の偽証を信じて判決を下している。
原告の論理を説明する。
被告大学の労使関係のベースとなるのは、労使双方のもとで規定された学内規程にある。
したがって、大学が順守すべき「教育基本法」、「私立学校法」などに加え、
学内の「就業規則」、「経営学部教授会規程」、「特任教員任用規程」、
「労使慣行の判断に寄与する人事関係の統計データ」、
最後に、「原告の特任規程を踏ませない被告井形・被告池島の不法行為の目的は何か」
という論理こそ、適切な判決に導ける論理である。
まずもって、「学外規程」、「学内規程」という Key Factor を論理展開の要素から外し、
さらに、争点4の被告井形、被告池島の特任人事妨害という不法行為を、
「労使慣行の有無」から分離独立させる、この論理は無茶苦茶な論理である。
これが、原告の冷静な判断である。
裁判官の「心証主義」は、議論の対象外として、裁判の方法論には疑問を感じる。
判断のプロセスに法律が規定する論理フローチャートを明示して、
それぞれのステップの品質保証をする仕組みが求められる。
そこには、狡猾な手続きをしようとする、訴訟当事者の悪意を排除するためである。
以上、原告の感想である。
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思い出すと、訴状を大阪地裁に提出したところ、原告の訴状の枠組みが裁判官の指示で変更され、
その結果、枠組みは、次の2つの部分に分けられている。
「労使慣行の存在」
「被告井形および被告池島のパワハラ」
原告の主観であるが、
裁判の焦点は、「労使慣行の存在」は蚊帳の外になり、
「被告井形および被告池島のパワハラ」に当てられている、と感じていた。
原告の訴状の趣旨が反映されていない、この裁判で感じることは、
やはり、原告の法律知識の欠如と、被告大学の裁判の巧みさに尽きる。
その結果、
民事訴訟であるから、金銭が訴訟の評価尺度とすると、次のようになっている。
「労使慣行の存在」の損害賠償額は 1273万5000円
「被告井形および被告池島のパワハラ」は、連帯して 100万円支払え
大阪地裁の判決は、
「労使慣行の存在」の損害賠償額は 0円
「被告井形および被告池島のパワハラ」は
被告井形の過失 0万円
被告池島の無罪 0円
大阪高裁の判決は、
「労使慣行の存在」の損害賠償額は 0円
「被告井形および被告池島のパワハラ」は
被告井形および被告池島の故意による共同不法行為 80万円
1.4つの争点
判決の判断根拠は次の4つである。
争点1
被告大学において,特任教員の任用を申請すれば任用されるという労使慣行があったか
争点2
争点1が否定される場合,正式の任用行為がなくても
原告が被告大学の特任教員に任用された場合と同視し得るか
争点3
争点1及び争点2が否定されるとしても,任用手続を進めていれば
原告が特任教員に任用された高度の蓋然性があり,損害(逸失利益)を被ったといえるか
争点4
被告井形、被告池島が,原告の特任教員任用申請を妨害したとして,不法行為責任を負うか
2.争点1、「被告大学において,特任教員の任用を申請すれば
任用されるという労使慣行があったか」の結論は?
「被告大学において,原告が主張するような労使慣行があったことの証左と
評価することはできない。」
3.争点2、「争点1が否定される場合,正式の任用行為がなくても
原告が被告大学の特任教員に任用された場合と同視し得るか」
の結論は?
「原告が特任教員に任用されるとの期待を有していたとしても,
その期待が個人的な期待を超えて,
法的保護に値するものであったと認めることはできない。」
4.争点3、「争点1及び争点2が否定されるとしても,
任用手続を進めていれば
原告が特任教員に任用された高度の蓋然性があり,
損害(逸失利益)を被ったといえるか」の結論は?
「カリキュラム検討委員会の役割,設置期間等に照らせば,
その検討結果は,それなりの重みをもって,受け止められるものであるといえる。」
「特任教員推薦委員会の構成員でもある被告井形が,カリキュラム検討委員会の検討結果を
受けて,原告に対し,特任教員の任用申請を辞退するよう促しており,
徳永学長も推薦委員会の委員長として,
原告の申請を受理することはできないと判断している。」
「仮に,原告が提出した授業担当計画をもって,特任教員任用申請手続を進めたとしても,
特任教員推薦委員会が,原告を特任教員として適当であると認めて教授会に推薦することは
想定し難く,また,カリキュラム検討委員会の構成員が教授会の構成員でもあり,
被告井形も教授会の構成員であることなどからすれば,
教授会が,原告について,
特任教員の候補者として決定することも想定し難いというほかなく,
ひいては,理事会が原告を特任教員に任用することも想定し難いというほかない。」
「以上を総合考慮すると,本件において,原告の特任教員任用申請について手続を進めた
場合に,原告が特任教員に任用された高度の蓋然性があったと認めることはできない。」
------------------- 原告による分析・評価 -------------------
これは、裁判官の規程に対する認識を欠いたことによる、誤った判決と推認される。
裁判官は、学内規程、特に特任教員任用規程に準拠した判決をしていない。
また、被告大学の準備書面、尋問での被告井形らの狡猾な「虚偽」を信用している。
特任教員任用規程には、カリキュラム委員会の役割は規定されていない。
この任用規程では、被告井形が、原告の申請資料を、まず、推薦委員会に提出し、そこで審議、
教授会への推薦の可否がされる。
また、教授会で「否」としても、推薦委員会に戻され、実態調査などで「否」の妥当性が審議、
そのうえで再度、教授会に推薦するかの審議がされる規程になっている。
したがって、不法行為をしている被告らにこそ、問題があり、
大阪高裁は、原告には「特任申請資格がある」と判示しているように、
大阪地裁の判決とは逆の結果になるであろうと、推認する。
5.争点4、「被告井形、被告池島が,原告の特任教員任用申請を
妨害したとして,不法行為責任を負うか」の結論は?
5−1.被告池島に対する、争点4の判決部分
------------------------- 判決文 -------------------------------------
「前記1(2)イ,ウのとおり,被告池島はカリキュラム検討委員会の委員長であったところ,
学部長であった被告井形から、
原告の授業担当計画について検討するよう指示を受けたことから、
意見で、カリキュラム検討委員会において同計画について検討を行い、
その結果、構成員8名全員一致の同計画の内容は不要若しくは必要度が低いとの結論に
なったため,その結論を被告井形に伝えたものである。
------------------------- 原告による分析・評価 -------------------------------------
裁判官の判断ミスは、
特任教員任用規程に反する
不法行為を被告池島がしているという認識の欠如である。
常識に照らしても、10数年原告が講義してきた、
「情報」「ネットワーク」「価値」というKFSが、
全員一致で不要などとしたことに、犯罪の匂いを感じないのか、不自然である。
民事裁判では「事実の真実性」を重要視されないのか、素人にはわからないが・・・。
------------------------- 次の判決文 -------------------------------------
確かに,その後の経緯に照らせば,カリキュラム検討委員会の上記検討結果が,
原告の特任教員への任用申請を巡る経緯に大きな影響を与えたことがうかがわれるが,
カリキュラム検討委員会が,カリキュラムを検討することをその職務とする以上,
いかなる授業計画であっても適当なものであるとの意見を述べることになるものでは
なく,検討の結果,不適当なものとの結論に至ったのであれば,
カリキュラム検討委員会の代表者である委員長は,検討を指示した学部長に対し,
不適当との意見を述べるのがその職責からして当然である。
そして,本件において,被告池島あるいはその余のカリキュラム検討委員会の構成員が,
学問的な見地からではなく,
個人的な事情・感情等に基づいて
原告の授業担当計画の内容が不要若しくは必要度が低いとの意見を述べ,
カリキュラム検討委員会としての結論に導いた
というような事情を認めるに足りる証拠もない。
なお,被告池島の専攻分野は法律であり,
原告の専攻分野である情報バリューエンジエアリングについて説明することはできないが,
他のカリキュラム検討委員会の構成員の意見に基づいて検討することは可能なのであり
(被告池島尋問調書23頁),むしろ,上記の事情は,
被告池島が,原告の授業担当計画について,
積極的に不適当との意見を述べたものではないことを表す事情であるといえる。
そうすると,
被告池島が,被告井形に対し,カリキュラム検討委員会としての結論を伝えた行為は,
カリキュラム検討委員会委員長としての職責に基づいて行われた行為であって,
その余の行為を含めて検討しても,被告池島が,原告の特任教員への任用申請を妨害したと
認めることはできないから,被告池島の行為が不法行為に当たるということはできない。」
------------------------- 原告による分析・評価 -------------------------------------
裁判官は、被告池島のカリキュラム委員長としての立場から、
好意的に、このような手続きもやむなし、と判示している。
2010年10月22日経営学部教授会の議事録には、
「二宮正司教授、大阪経済大学特任教員Aとすることを決定した」とあり、
議論の有無も何も記載されていない。
数人の教授会メンバーは、議論もなく、承認されたと原告に知らせている。
この時は、北村實学部長、井形副学部長兼カリキュラム委員長、池島カリキュラム委員であり、
この教授会で次期学部長に被告井形が選出され、
被告池島が副学部長兼カリキュラム委員長に就任している。
2014年1月15日に原告が証拠として提出した、
2010年8月5日の松田カリキュラム委員のメール(甲16の、2頁)に
被告池島カリキュラム委員の名前がある。
⇒
2011年度開講科目にむけて、
学部執行部、カリキュラム委員会とやりとりした時のe-mail(甲16)
これより、被告井形および被告池島は、二宮教授の特任人事を経験しており、
特任教員任用規程を熟知し、
2012年9月28日の教授会では、全学共通の特任教員任用規程にしたがうべきところ、
原告に適用する、偽装した任用規程を教授会メンバーに説明、
原告は、その規程を二宮特任人事でも適用したかと質問すると、
被告井形学部長は、「した」と答えている。
ここにおいて、被告大学が提出した証拠(乙3)には、
次年度特任教員の任用手続きについて《井形学部長》標記について、
学部長が作成すべき授業計画につきカリキュラム委員会の意見を聞いて行うことを含め、
任用手続きについて説明があった。
と記載されている。
原告が講義する「3ヵ年の講義計画を被告井形学部長が作成するとしており、
尋問では、被告井形も被告池島も原告の担当科目を説明できないと陳述する
その本人が作成するという議事録を残している。
大阪地裁では証拠として提出することを控えた、当日の教授会の様子を以下に示す。
⇒
2012年9月28日、経営学部教授会の様子、音声データの反訳書
⇒
上記、音声データ
これに加えて、
被告らが、北村實(元副学長、元経営学部長)と一緒にまとめた
原告の特任申請を拒否する6つの特任申請拒否理由を以下に示す。
⇒
2012年10月15日、被告井形学部長・理事が原告に特任申請辞退を迫った6つの理由
この特任申請拒否理由をもとに、原告に特任申請を自主的に辞退せよ、
と迫っている様子は、甲10、甲11より理解される。
⇒
2012年10月15日、特任申請辞退の説得にみえた井形学部長との会話(甲10)
⇒
上記音声データの反訳書 (甲11)
以上を踏まえると、
原告の特任人事の任用に際し、
特任教員任用規程に規定されていない、カリキュラム委員会を介入させていること。
6つの理由を捏造し、
特任教員任用規程が規定する「特にふさわしい人物」には該当しないと画策し、
被告井形自ら、教務課員に原告が「1部科目を2部重複開講している」
教学ルール違反者にしたてていることからすれば、
被告井形も、被告池島も、悪意をもって、原告の特任人事を妨害していることは自明である。
したがって、裁判官の、当該判示は修正されるべきである。
なお、被告井形、被告池島の不法行為の有無にのみ、審議され、
「労使関係の有無」については、議論もされず、判決が下されていることは、
訴訟した原告としては、法律の知識の欠如による、と後悔している。
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5−2.被告井形に対する、争点4の判決部分
------------------------- 判決文 -------------------------------------
「平成24年10月15日の原告と被告井形との面談における
被告井形の発言(甲10,11)に照らせば,被告井形は,
被告池島から聴取したカリキュラム検討委員会の検討結果からすれば,
このまま特任教員への任用申請手続を進めても,
特任教員推薦委員会において,
原告が推薦されないという不名誉な事態となると考えたことから,
同日に,原告と面談し,そのような事態を回避するために,
特任教員への任用申請を取り下げるよう勧めたものといえる。
そして,同日の原告と被告井形との会話の内容(甲10,11)に照らしても,
被告井形は、原告に対し、任意に特任教員ヘの任用申請を取り下げることを勧めるに
とどまっており、不穏当な言動等は見受けられないことからすれば,
同日の会話をもって、
被告井形が原告の特任教員への任用申請を妨害したと評価することはできない。
------------------------- 原告による分析・評価 -------------------------------------
裁判官の「認識の関」は、「カリキュラム委員会」にあり、
この委員会を適切な組織と判断して、
それを不法行為をする組織でないと決めつけている。
原告が10年以上講義してきた科目が、
特任任用機会に、突然、すべて不要、若しくは必要度が低いと判断した8名全員が、
その理由を説明せず、原告の科目の説明もできなかった、
当然、CSRを講義する被告井形教授も、
企業実務と法律は密接な関係にある法学教授の被告池島も、
原告の科目を説明できない。
何故、不法行為をしていると気づかないのか、という疑問を原告はもつ。
今1つの問題は、
特任教員任用規程と、その規程にもとづいて、
特任教員推薦委員会が、特任人事を行う機関であり、
徳永学長が委員長であり、被告井形は7名の委員の一人にすぎない。
その組織の役割を、特任教員任用規程の「任用の手続き」から、正しく読み取っていない。
それが、このような判示となっている。
------------------------- 次の判決文 -------------------------------------
もっとも、被告井形は、同日の面談において、
「カリキュラム委員会がだめなのに、
僕だけが賛成で、ものが進められないのが現状なんです」と述べ(甲11・48頁),
被告井形本人尋問においても,
カリキュラム検討委員会の意見には沿わない状態の
授業担当計画をもって手続を進めていくことは考えていなかった旨
供述するところ(被告井形尋問調書22頁),
かかる被告井形の供述に照らせば,
被告井形は,カリキュラム検討委員会が原告の授業担当計画について
適当との意見を述べていない状況の下では,
特任教員の任用申請手続を進めていくことができないと考え,
徳永学長と事前協議を行うなどした上で,
授業担当計画についての
原告と被告井形の協議が成立しておらず,
原告が提出した授業担当計画には不備があるとして,
特任教員推薦委員会に提出したとしても
受理できないとの判断に至り
(前記1(2)オのメールもその表れといえる。),
同判断に基づき,
任用申請手続を進行させなかった結果,
原告の特任教員への任用申請は不受理
という結果となったものといえる(甲14、4頁)。
------------------------- 原告による分析・評価 -------------------------------------
ここでの、裁判官の誤った判断は、
徳永学長と事前協議を行う
である。
被告が、2014年8月8日に証拠とした、
森田教授の特任人事の手続きである。
(乙28−1から乙28−6−2の8つの証拠)
経済学部長は、推薦委員会に森田教授の「3ヵ年授業担当計画」を提出、
推薦委員会は、8名の協議により、教授会に推薦、
教授会は、「書類の不備」を理由に、継続審議となり、
推薦委員会は、その理由の実態調査をし、
その調査結果をもとに再度、推薦するかを協議し、
結果として、教授会に推薦しないとしている。
これが、特任教員任用規程の「任用の手続き」である。
これに対し、
被告井形は、事前協議と称しているが、
徳永推薦委員長に面会を求め、
上記のように、推薦委員会が審議して、
「書類の不備」ある場合は、受理しない、
という言葉を、悪用し、
2014年1月15日提出の、
「2012年11月16日の教授会で特任教員の不受理を報告、
議論した様子がわかる証拠(甲14,録音は甲15)のなかで、
被告井形が、「学長の決定でございます」と答え、
教授会メンバーが繰り返し「書類の不備とは何か?」の理由を質問しても、
教授会メンバーに答えることを、最後まで拒否している。
また、被告井形の陳述書(乙27)の
「4.特任教員推薦委員会委員長との事前協議について(平成24年10月16日)では、
委員長に相談したことを「事前協議」としている。
参議院法制局によると、推薦委員会での協議は、
8名全員の協議により、合意が得られない場合は多数決などで決めることが多い
と明記されている。
瀬岡吉彦教授の特任人事のケースでは、
票が50対50と割れ、
重森委員長の1票が推薦しないに投じられたことにより、
瀬岡教授の特任任用は却下されている。
したがって、裁判官の当該判示部分は、修正が求められる。
------------------------- 次の判決文 -------------------------------------
しかし、
現行規定における特任教員の任用申請に関する手続の流れは
前記第2の1(2)アのとおりであるところ、
学部長は、教務委員長及び対象者と協議の上,
授業担当計画を特任教員推薦委員会に提出することとされているが、
そこでは協議した上で提出することが要件となっているものの、
協議がまとまらなかった場合にいかなる手続をとることになるかは
明示されていない。
そして、誰を特任教員に任用するかということは、
被告大学においていかなる研究を行い、
学生にいかなる教育を行っていくか
ということと密接に関わる事項であり,
学部長の一存で判断すべきものではなく,
学部全体あるいは被告大学全体で判断すべきもので
あることからすれば,
現行規定に授業担当計画について
学部長と対象者との協議がまとまらなかった場合には
授業担当計画を提出しないこととする旨の規定がない以上,
学部長は,
特任教員の任用申請手続を進めなければならず
(授業担当計画を推薦委員会に提出する。),
協議がまとまらなかったことは,
その理由も含めて,
手続の各段階における考慮要素とすべきである
と解するのが相当である。
本件についてみると、原告は、平成24年10月15日の面談において、
「それはするつもりはない。まことに悪いけれど」(甲11・40頁),
「あのー,推薦委員会に出していただいて,
僕が何か欠落している要因があるかどうかっちゅうのが明確になれば,そのー,
僕が認められへんだけの話やんか」,「落ちるんやったら,落ちてもいいやんか」,
「だから,それで落とされるんだったら,落とされるでいいじゃないの。
僕は別に恥じることはしてないし、それは全くいいですわ」(甲11、48頁)とまで述べて
特任教員の任用申請手続を進めることを求めていたのであり,
被告井形の勧めを受けても,
特任教員への任用申請を取り下げない意向を明確に示していたものである。
そうすると,
学部長であった被告井形としては、対象者である原告との協議がまとまらなかったことを
前提に、学部長として原告の授業担当計画を特任教員推薦委員会に提出し、
手続を進めなければならなかったところ、
被告井形は、書類の不備があるとの判断をし、
その結果,原告の特任教員への任用申請手続が進められなかったことになるが,
かかる被告井形の行為は,
現行規定下における特任教員の任用申請手続の理解を誤ったものというほかない。
------------------------- 原告による分析・評価 -------------------------------------
参議院法制局の「協議」の解釈によれば、
特任教員任用規程の任用の手続きにある「原告の授業担当計画に係わる協議」については、
合意が得られない場合のケースが明文化されていない場合は、
利害関係のある私人(原告のこと)の意向にそって、
推薦委員会に学部長が提出する責務があると明記されている。
これは、推薦委員会で、まず、原告の授業担当計画を推薦委員会に提出するよう、
激しく被告井形推薦委員を諭した、城氏のメールからも、判断される。
このメール(甲18)は、2014年5月8日に証拠として提出している。
⇒
2012年11月27日、城推薦委員の e-mail「特任に関するパワハラの件」(甲18)
参議院法制局は、利害関係のある個人を含まない、組織での協議は、
構成メンバー全員の同意が求められるとして、
それが成立しないケースでは多数決などで決していると説明している。
これによれば、被告井形が徳永学長に相談した行為は、「事前協議」ではなく、
単なる「相談」であり、
被告井形の不自然な行為をもって、故意による不法行為をしていると判断される。
以上より、裁判官の上記判示は、修正が求められる。
------------------------- 次の判決文 -------------------------------------
以上を総合考慮すれば,本件において,
被告井形が,
個人的な事情あるいは感情等から,
原告の特任教員への任用申請を妨げる意思(故意)を
有していたことを認めるに足りる証拠はないが,
上記のとおり,被告井形が特任教員の任用申請手続の理解を誤り,
その結果,原告が,特任教員の任用申請について,
特任教員推薦委員会等の審理を受ける機会を
奪われることとなったことからすれば,
被告井形には,
原告の特任教員への任用申請手続の取扱いにおいて,
過失があったといわざるを得ず,
被告井形の行為は不法行為に当たると認められる。
そして,本件に表れた一切の事情を総合考慮すれば,
原告が受けた精神的苦痛を慰謝するための慰謝料の額は
30万円と認めるのが相当であり,
被告井形の行為が
被告大学の学部長としての行為であることからすれば,
被告大学も,同行為について,
民法715条に基づき,責任を負うこととなる。
------------------------- 原告による分析・評価 -------------------------------------
原告は、当時、原告が証拠とした書類などを用いて、既に分析・評価をしている。
その結果、裁判官の判決の修正を求めたい、という希望をもっている。
なお、最も原告が重要視する、「労使慣行の存在」については、
全くといってよいほど、審議することなく、判決を下しているところに
「何故か?」という疑問をもっている。
原告が、もっと、適切な証拠などを呈示しなかった、という反省もしている。
----------------------------------------------------------------------------------------
6.大阪地裁の判決文
⇒
1_判決 主文 事実及び理由 第1 請求、第2 事案の概要 1 容易に認定できる事実
⇒
2_第2 事案の概要 2 争点 (1)争点1 原告の主張(p8-11)
⇒
3_第2 事案の概要 2 争点 (1)争点1 被告らの主張(p11-12)
⇒
4_第2 事案の概要 2 争点 (2)争点2 原告の主張(p12-13)
⇒
5_第2 事案の概要 2 争点 (2)争点2 被告らの主張(p13)
⇒
6_第2 事案の概要 2 争点 (3)争点3 原告の主張(p13)
⇒
7_第2 事案の概要 2 争点 (3)争点3 被告らの主張(p14)
⇒
8_第2 事案の概要 2 争点 (4)争点4 原告の主張(p14-16)
⇒
9_第2 事案の概要 2 争点 (4)争点4 被告らの主張(p16-17)
⇒
10_第3 当裁判所の判断 1 前提事実のほか,
証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる(p17-21)
⇒
11_第3 当裁判所の判断 2 争点1(p21-26)
⇒
12_第3 当裁判所の判断 3 争点2(p26-27)
⇒
13_第3 当裁判所の判断 4 争点3(p27-29)
⇒
14_第3 当裁判所の判断 5 争点4(p29-33)
⇒
15_第4 結論(p33)